女子プロゴルファー名誉毀損訴訟
プロゴルファーのK選手が2ちゃんねる(2ch)上の匿名投稿者からの書き込みに対し、
名誉毀損にあたるとして2ch管理人(西村博之)に100万円の損害賠償などを求める民事訴訟を起こしました。
問題とされたのは、K選手の異性関係にまつわる事実無根の書き込みで、削除依頼に応じない管理人を相手取って提訴したものです。
2006年10月25日に下された判決は、K選手の全面勝訴でした。
事件の概要
著名人が個人で初めて2ch訴える
2006年10月、時は2ch訴訟の興隆期。各界の著名人を面白おかしく中傷するスレッドが乱立する中、一人の勇気ある女性が法廷に立ちました。
前年に開催された第1回女子ゴルフワールドカップで宮里藍とペアを組み優勝した、女子プロ界をときめくK瑠依さんでした。
事実無根の書き込みに我慢できず
数年前から「美人プロゴルファー」としてK選手にエールを送る投稿が増える一方で、異性関係など事実無根の内容が相次いで書き込まれ、
卑猥な表現などが次第にエスカレートしていました。
「我慢の限界を超えている」とK選手が弁護士に相談したのが3月中旬。
それから2ch管理人に対して掲示板や電子メールを通じ再三書き込み削除の依頼を行ってきましたが反応がなく、
5月9日には訴えを起こし、訴状を何度自宅に郵送しても受取人不在で戻ってきてしまうという始末でした。
裁判の経緯
著名人だからと泣き寝入りしない
11日に開かれた口頭弁論をはじめ、すべての公判に被告である2ch管理人が現れることはありませんでした。
こうした2ch管理人を相手取った訴訟は全国各地で毎日のように行われていますが、管理人の西村氏は一貫して出廷を拒んでいます。
それだけでなく、命じられた損害賠償についても一切支払わないことで有名です。
そんな無意味ともいえる訴訟に、著名人かつ個人では初めて打って出たKさんは「当初は無視していたが、書き込みの内容がだんだんエスカレートしてきた。
他の女子ゴルファーもひどい書き込みをされており、これ以上の被害者を防ぐ意味でも泣き寝入りはやめようと、訴訟を決意した」と言います。
判決
被告人不在のまま全面勝訴
10月25日の判決公判で東京地裁は、原告のKさんの訴えを全面的に認め、損害賠償100万円と書き込みの削除、発信者の情報開示を2ch側に言い渡しました。
通常の裁判ではガッツポーズも出そうな、原告側の「全面勝訴」でしたが、Kさんとその関係者がそのことについて喜びのコメントを出すことはありませんでした。
有名人だからとあきらめない
一方、2ch管理人の西村博之氏はこの裁判について「彼女の誹謗中傷の書き込みの削除にちゃんと応じたんだから(不確定)、これ以上何を行えば良いのか?」と相変わらずの居直りぶりで、情状酌量の余地もありませんね。
一人の女子プロゴルファーの勇気ある訴えは、その後多くの著名人が誹謗中傷に泣き寝入りする必要はないという姿勢の表明となったことが一番の収穫でしょう。