スマイリーキクチさんへの悪質な誹謗中傷事件

2008年9月~2009年1月の期間に、ネット中傷犯19人が次々と検挙されました。 お笑いタレントのスマイリーキクチ氏が過去の凶悪事件の犯人だと2ちゃんねる(2ch)掲示板他ででっち上げられ、 個人への誹謗中傷、脅迫などの被害に10年間苦しめられたのち、2008年8月、ついに刑事告訴したことを受けたものです。


事件の概要

ある日突然、殺人犯に…

誹謗中傷がエスカレートし、脅迫めいた文言や複数犯による悪質かつ執拗な書き込みが続くようになると、個別の民事裁判ではなく、刑事事件として立件される場合も多くあります。

ネット上での誹謗中傷によって多数の逮捕犯を出した事件として有名なのが、スマイリーキクチ中傷被害事件です。

発端は、2chなどの掲示板で生まれたウワサからでした。 1999年、10年前に起きた女子高生コンクリート詰め殺人事件の犯人(当時少年)の一人がスマイリーキクチ氏であるかのような内容の書き込みが次々と投稿されたのです。

▼2ちゃんねる、所属事務所掲示板などに書き込まれた投稿(一部)▼

「凶悪殺人の共犯者、スマイリー鬼畜、氏ね」

「殺した過去を思い出せ、白状して楽になれよ」

ウワサの根拠は、スマイリーキクチ氏が逮捕された少年たちと同世代で、東京・足立区出身であるという、それだけのことでした。

ここからおよそ10年にわたるスマイリーキクチ氏の誹謗中傷との壮絶な闘いが始まります。

裁判の経緯

個人のブログ炎上が刑事事件へ発展

ネット世界に蔓延したスマイリーキクチ氏に対する凶悪犯の噂ならびに誹謗中傷は、所属事務所のウェブサイトでの弁明で止むことはなく、 やがては本人がテレビに出ることさえも世間が許さない空気を作り上げていました。

▼スマイリーキクチ氏と誹謗中傷の10年▼

1999年 2ちゃんねるなどネット掲示板に、女子高生コンクリート詰め殺人事件(以下、コンクリ事件)の犯人であるかのような書き込みが相次ぐ。

2000年 警察に相談。脅迫罪の疑いで警察が捜査し、発信元アドレスを5つ特定するに至るが、結局書き込んだ人物までは特定できなかった。

        2ちゃんねるなど掲示板運営者へ削除依頼。しかし、応じてもらえず。

2005年 北芝健の著書『治安崩壊』に、コンクリ事件の犯人について「少年グループの一人は出所後、お笑い系のコンビを組んで芸能界でデビューしたという」との記述。 これは状況的に、明らかにスマイリーキクチ氏を連想させるものだった。

        ネット上での中傷が過熱、テレビ局やCMスポンサーへの抗議も止まず、仕事が激減する。

2008年 汚名を返上するため、自身のブログを開設するも、直後にまたしても犯人扱いするコメントが殺到して炎上。身の安全を守りながら暮らす。

2008年4月 再び警察に相談。警視庁のハイテク犯罪対策捜査センター(当時)、管轄警察署の生活安全課などを訪ねるも「誰も本当にあなたが犯人とは思っていない」「削除依頼をして様子をみては」など、解決に進まない回答ばかり。

        弁護士に相談。中傷書き込みをした者を特定するためには相当の根気と労力が必要と説明され、北芝の本と出版社に対して、自分が風評被害に遭っていることを訴えようと検討する。

2008年8月 管轄警察署の刑事課で、ネット犯罪に強い一人の刑事と出会う。刑事事件として立件する方向で動きはじめる。

        自身のブログに、中傷犯を誘導するような記事を投稿。

2008年9月~2009年1月 中傷犯19人を一斉検挙。

7人の書き込み犯を書類送検

民事裁判では闘えないケースも

逮捕された書き込み犯たちは、スマイリーキクチ氏に個人的な面識も恨みもなく、犯人同士のつながりもまったくない、まさに匿名個人の集まりでした。

ネット掲示板やブログの炎上で、このように警察が動くのはそうあることではありませんが、もしこれが、スマイリーキクチ氏個人が各々の書き込み犯を追跡し、 民事裁判で争う道を選んでいたら、どうなっていたでしょうか?

(1)書き込み者を特定するために掲示板管理者から発信者のログ、プロバイダーから発信者の個人情報を開示してもらう。
(2)掲示板管理者とプロバイダーが開示を拒否した場合は訴訟になるが、裁判所が開示命令を出すとは限らない。

とくにスマイリーキクチ氏は有名人であるため、(1)(2)ともにハードルが高く、解決にさらに時間がかかって被害が拡大していたかもしれないのです。

サイバー犯罪捜査が本格化

中傷犯逮捕のニュースにより、スマイリーキクチ氏は10年越しの悲願であった凶悪犯の汚名をやっと返上することができました。

この事件では、さらに2009年3月27日までに7人の中傷犯を検察に書類送検。 うち名誉毀損容疑で送検された4人の中には、スマイリーキクチ氏を中傷しただけでなく殺人事件を茶化し、被害者を冒涜する書き込みをした者も含まれていたといいます。

現在では、警視庁生活安全部サイバー犯罪対策課に、道府県警察から派遣される捜査員が加わり編成された「サイバー犯罪特別対処班」が、ネット事件の捜査を担当しています。

2ch(2ちゃんねる)の誹謗中傷裁判一覧まとめ(WEB広報)